桃の香りが、肌の上でデザートになるまで。

桃の香りには、様々な表現があります。
ジューシー、可愛らしい、甘やか
どれも正解のようで、どこか物足りない。
ラストにウッド系の重たい香りを入れないと一般的には桃の香りは長く持続しない、または香りが単調になってしまうデメリットがあります。
深く解釈していくうちに私が辿り着いたのは、繊細で、柔らかくて、甘いという本質でした。
香水としての“甘さ”は、時に重くなりすぎたり、幼くなってしまうことがあります。
だからこそ目指したのは、食べたくなるような甘さと、肌に溶け込むような軽やかさを両立し、それかが余韻の様に長く残る“デザートの香り”。
香水としての“甘さ”は、時に重くなりすぎたり、幼くなったりすることがあります。
だからこそ目指したのは、食べたくなるような甘さと肌に溶け込むような軽やかさを両立した、“デザートの香り”。
調香のスタートは、いくつかの桃の香料を重ねて作る「桃の瑞々しさ」。
単純にラクトンを重ねるのではなく、様々なネクタリンとフルーツの要素、そこに微かな花の要素をいれていくことで繊細な桃の香りを表現することが出来ました。
果実そのものの甘さに、芯から立ち上がるようなほのかなグリーンのニュアンスを添えることで、
まるで“桃を割った瞬間”のリアルな香りを目指しました。ただグリーンの香り自体は全く香りませんがそれが桃のフレッシュさを生み出しているのです。
そこに重ねたのは、空気をふくんだような軽やかなシャンティクリームの香り。
ミルク、バター、バニラこの3つを絶妙なバランスで配合し、
口に運んだ時の「ふわっ」「とろっ」とした質感までも香りで再現しようと試みました。
そして最後に、果実の甘さを軽やかに引き締めてくれるのがライチのアクセント。
ほんの少しの透明感が加わるだけで、香りに奥行きと立体感が生まれます。
この香りは、甘さだけではありません。
まとうことで、“誰かに見せるため”ではなく、自分をやさしく包むための香りになってほしい。
そんな願いを込めて、最後の余韻はミルクとシュガーがふわりと肌に残るように仕上げています。
それは、まるでシャンティクリームが肌の上で溶けてゆくような、
やわらかく、でも確かに残る甘さ。
「桃のスイーツが好きで、そのまま香水にしました。」
そう語る桃のアフターヌーンティーや桃のスイーツが好きな調香師の和崎の言葉に、すべてが込められています。
口に入れていないのに、どこか満たされる。
香りなのに、なぜか“食感”まで感じる。
そんな不思議な体験を、ぜひ肌の上で味わってみてください。
これは、香水という名のデザート。
まとうたび、桃とクリームの記憶に包まれます。
そしてもうひとつ。
このPEACH CHANTILLYは、同じシリーズのDARJEELINGと重ねることで、
まるで“紅茶とデザート”のような心地よいペアリングが生まれます。
ほんのりスモーキーな紅茶の香りが、桃の甘さを引き立てながら、
香り全体に洗練された深みを与えてくれるのです。
香りを一皿の物語として楽しむ——そんな贅沢な時間を、ぜひご自身の肌で味わってみてください。